建築士が自分の家の外壁リフォームする時、どこをチェックするの?

このたび自分の家の外壁リフォーム(塗装)を実施する事になりました。
私の職業は建築士です・・・と言えば皆さんは「外壁リフォームなんて職業上の付き合いで、知り合いに頼めば簡単でしょ?」と思われるかも知れませんが、実はそうも行きません。

私は長年新築住宅の設計を専門にして来たので、リフォーム業者さんとの付き合いは全くありません。かと言って年数の経過した外壁のリフォーム(塗装)には専門の経験と技術が必要なので、普段新築を専門に塗装している馴染みの業者さんに依頼する訳にも行きません。(きっと相手も普段やらない作業は嫌だろうし、でも頼まれれば断りずらいと思うので・・・)

という事で今回、自分の家の外壁リフォーム(塗装)を業者の選定から行いましたので、「建築士が自分の家の外壁リフォームで実践!外壁塗装で失敗しない業者選び」と題しまして、私が実際に行った業者選定のコツをご紹介いたします。
せっかく専門分野なので「外壁塗装をすべきタイミング」の情報も書きました。

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自分の家の外壁リフォームを例に、外壁塗装の情報をお伝えする理由

本題に入る前に、今回「外壁リフォーム」に関する情報を皆さんにご紹介しようと思った理由をお話します。

キッカケは、周囲に「外壁塗装をした」と話したら「建築士が自分の家のリフォームをする時に、どこをチェックするのか非常に興味がある」と多くの方から言われた為です。

たしかに「専門分野で消費者」という立場も なかなか無い経験なので、聞きたいという要望があるなら、出来るだけ分かり易くご紹介して、皆さんの外壁リフォーム(塗装)の成功にお役に立てれば嬉しいと思っています。

我が家の傷んだ外壁(塗装前)
我が家の傷んだ外壁(塗装前)

尚、今回はあくまで自分の家の外壁リフォーム(塗装)の体験を、たまたま持っている専門知識で解説してご紹介する感じなので、具体的な業者名や商品名は一切出しておりません。

また、これから書く内容は全て事実に基づいておりますが、あくまで私の個人的な見解ですので参考程度にお考え下さい。
これらを参考にした事により発生した問題には一切責任を負えませんので、ご了承下さい。

外壁塗装をするタイミング

業者選定のお話しに入る前に「外壁の塗り替えサインってあるの?」というお話しをチョットだけ。
結構分かり易い確認方法がありますので、興味のある方はお付き合い下さい。

まず、軍手等を装着して壁を擦ります。
擦る強さは、サッカーボールをタオルで拭くのと同じ程度でOKです。
ちなみに、この写真は我が家の外壁を実際に擦った時の様子です。

外壁のチョーキング確認1
外壁のチョーキング確認1

この様に外壁の塗料が粉状に軍手に付いた場合は「外壁塗り替えサイン」が出ているとお考え下さい。
この現象を「チョーキング」と言い、塗料が劣化して防水性を失っている状態です。
塗料の種類や性能、環境等にも拠りますが、新築の家なら約6年から8年位で、この様な状態になる事が多いです。

ご自宅が塗装の外壁なら、こんなに簡単に劣化をチェック出来ますので、気になる方は是非試してみて下さい。

外壁のチョーキング確認2
外壁のチョーキング確認2

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外壁リフォームで失敗しない「チェック項目」
見積もり編

「外壁の塗り替えサイン」のチェックをして外壁の塗装が劣化していたら、いよいよ次は業者の選定です。
インターネットや近所で、気になった外壁リフォーム(塗装)業者を見つけて見積もりを依頼します。

見積もりのチェック項目
「相見積り」をするのは値段比較の為だけではない

まず、よく言われる「相見積り」に関してです。
「相(あい)見積り」とは、複数の業者から見積りを取る事ですが、これには賛否両論ありますが私は「正しい」という立場です。
気になった業者の3社から5社位で見積りを取るのが良いと思います。(あまりに多いと後で選別が難しくなるので。)

この「見積り」で一番チェックしたいのは、意外かも知れませんが「値段」ではありません。
見積もりの「値段」は確かに一番気になる部分だと思いますし、もちろん重要なのですが、その前に私が一番確認して欲しいのは「面積」と「項目」の部分です。

私の家の外壁塗装見積書の一部
私の家の外壁塗装見積書の一部

まず「面積」のチェック

見積りに面積が記載されているのは以下の3項目です。

  • 塗装をする壁の面積
  • 足場の面積
  • 屋根の面積(一緒に屋根も塗装される場合)
    ※外壁塗装と屋根塗装を同時に行うと効率的なので、一緒にする事が多い

全社の見積もりに記載されている面積を比較する事によって、ご自宅の概算の塗装面積を知る事が出来ます。

ご自宅の各塗装場所の面積を把握する事は非常に重要なのですが、私が数人の知人に説明した中で面積に着目した方は一人も居らず、やはり皆さん「単価」と「総額」に目が行く様です。

なぜ「面積」が重要か?

なぜご自宅の各塗装場所の面積を把握する事が、非常に重要なのでしょうか?
実は皆さんが注目される「単価」ですが、材料に関しては定価から算出するものが多いので、グレードが同等なら業者間でそれほど大きな違いは出ません。(他社と大きく単価が違う場合は塗料のグレードを確認して下さい。)
特に足場は外部業者に委託する事が殆どなので、同じ地域であれば単価に大きな違いは出ないのです。
となると、単価に面積を掛けて総額を算出する訳ですから、材料の項目で重要なのは「面積」という事になります。

この話をしたところ、知人に言われました。
「同じ家を塗装するんだから、業者間で面積に大きな違いなんて無いでしょ?」
「家を建てる時だって坪単価は見るけど、同じ間取りなのに他の業者と面積を比べたりしないよねぇ?」
私は、そういう考え方がある事には全く気付かなかったので、予想外の反応に非常に驚きました。消費者の方々と直接話すのは、とても勉強になります。
私の知人の認識が一般的ではないのかも知れませんが、他の方の反応を見る限り どうやらそうでも無さそうです。

結論から言えば、外壁塗装の際に見積もりに書いてある外壁や屋根・足場等の面積は、計算する業者によって違うのは「ある程度仕方がない」というのが私の認識です。
その理由と実例を、今回私が実際に経験した事実をお見せしながらご説明したいと思います。

なぜ業者によって「面積」が違うのか?

同じ建物の塗装の見積もりを複数の業者に依頼すると、塗装面積が各社で大きく違う事がよくあります。
理由は、壁の面積を出すには窓の面積を「概算で」省きますし、屋根の面積を出すには傾斜を「概算で」考慮して算出します。

全ての窓の面積や屋根の傾斜を正確に測るのは難しいので、ピッタリの数字にならないのは ある程度仕方がないと思います。
私は、この業者間での塗装面積の「誤差」を1割以内と考えています。
業者が計算して来た面積を見比べて、互いに1割位の中で数字が収まっている付近が、ご自分の家の概ね正確な塗装面積であると判断出来ます。(足場に関しても同様です)

「面積」が実際と違うと何が問題?

複数見積もりを取ると、この「誤差」より大きく離れた面積を目にする事があります。
私は、実際の面積より極端に大きな面積を出して来る業者はもちろんですが、小さく出して来る業者も信頼出来ないと考えています。

「実際より大きな面積は値段が高くなるから問題だけど、少なく見積もったなら安いんだからイイんじゃない?」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、実はそうではありません。
現場に搬入される塗料は見積もりの面積に少し余裕を持った分しか用意されませんから、もし現場で足りなかったらどうなりますか?
常識的には、追加発注するのでしょうが、すぐに現場に塗料が届くとは限らないうえに、その塗料の購入費用が更にかかります。「工期が延びるしお金もかかる」という事です。

この様な事態になった時に「少し塗料を薄める」「二度塗りするところを一部一度で済ませる」等の対応をしてしまう職人が居ても不思議ではない気がしませんか?しかも、こういう対応をされても、施主が気付く可能性はほぼゼロです。
ですから、こういう事態を招かない為にも正確な面積をチェックする事は非常に重要なのです。

実際に見積書で、その「誤差」以上の面積の違いを目にする事は珍しくはありません。
私の実体験で見て行きましょう。

私が実際に体験した「信頼出来ない業者」

今回私が自分の家の外壁塗装を行うにあたり4社に見積りを依頼しました。
結論から言いますと、この業者間で足場面積が最大で1.4倍、壁の面積で1.3倍の差があり、屋根面積に至っては2.4倍も違う数字を出して来た業者がありました。

ちなみに各業者には、建物各部の寸法と延床面積が記載された同じ図面を渡して見積り依頼をしています。

写真は、他社との相違が一番大きかった業者の見積もりです。
1枚で見られる様に足場・外壁・屋根の3項目を切り貼りしており、青で囲った部分が各項目と面積です。

外壁リフォーム(塗装)見積書1
外壁リフォーム(塗装)見積書1

他の3社の見積もりを見比べた結果、私の家の各項目の面積は

  • 足場が230㎡から240㎡
  • 外壁が120㎡から130㎡
  • 屋根が37㎡から40㎡

と判明しましたので、それらとの差を見て行きます。

まず足場が325?と他社より100?多く、屋根は倍以上の91?、しかし外壁は約30?少ない95?と全く意味不明です。
私も同業者なので、これほど明らかに面積が違えば見積もりを見てスグ気付きます。
面積の相違を担当者に指摘すると「私も何か変だとは思ったのですが・・・」と、図面を見ながら電卓を叩き再計算。
その結果出て来たものを手書きしたのが、写真の面積の上に赤ペンで書かれた数字です。

この会社は大きなショールームを何ヶ所も持っていて、私の住んでいる地域では比較的有名な会社です。
最初に家に来て現地の状態と私の要望を確認し、10日間掛かって出て来た見積もりがコレです。
しかも担当者はマネージャークラスの管理職。
その場で今回の外壁塗装の候補から外れた事は、言うまでもありません。

念の為に書いておきますが、この見積書は非常に多くの業者が使用している汎用ソフトで作成されていますから、お手元の見積書と書式が同じでも「信頼出来ない業者なのか?」と疑わないで下さい。

ちなみに、こちらの写真が他の3社の中で一番中間的な面積の見積書です。

外壁リフォーム(塗装)見積書2
外壁リフォーム見積書2

「支払い条件」を確認する

もう一か所 見積もりの中で確認したいのが「支払い条件」です。

3階建て以下で延床面積が100?前後の住宅であれば、外壁塗装のリフォーム工事は通常2週間から3週間で完了します。
この位の工期にも関わらず、着工までに全体の半分以上の金額の支払いを要求して来る業者がいます。

工事が何ヶ月も掛かる場合や高額な設備(キッチンやユニットバス等)を入れるなら、ある程度の支払いは仕方がありません。
しかし1ヶ月以内の工事であれば、業者は通常「後払い」で材料を購入しますから立替えは発生しませんし、もし「後払い」が出来ない業者なのであれば、よほど金銭的に信用のない会社であるという事になります。
しかも今回は塗装なので、値の張る材料は塗料くらいのものです。

もし資金的な問題を抱えていなかったとしても、工事が始まる前から多額の支払いを求めるのは、消費者に余計なリスクを負わせる事になりますので、誠実な業者とは言い難いと思います。
私は、一般住宅の外壁リフォーム(塗装)の場合で着工までに支払う金額は、多くても3割位までが妥当だと考えています。

写真は、最終的に絞った2社の見積りに記載してあった「支払条件」です。(1枚の写真に加工しています)

2社の支払い条件
2社の支払い条件

ちなみに、上でご紹介した「信頼出来ない業者」の見積もりに記載されていた支払い条件は「契約時40%・着工時40%・完了時20%」でした。
支払い条件の厳しい業者が全て悪いとは言いませんので、支払い条件「だけ」が問題であれば支払い時期の変更を交渉すれば良いと思います。でも、さすがに「着工までに80%を支払って下さい」と言うのは・・・。

以上で見積もりチェックは終了です。

「面積の確認」によって出来る事は以下の3点です。

  • 自分の家の概ね正確な各面積の把握
  • 現場での材料不足による品質低下リスクの回避
  • スキル不足な業者の選別

「支払い条件の確認」によって出来る事は以下の2点です。

  • 経営状態の悪い業者の回避
    (万一工事の途中で施工業者が倒産しても金銭的なダメージが少なくて済みます)
  • 不誠実な業者の選別

もちろん以上のチェックさえ行えば完璧という訳ではありませんが、もし初めて聞く内容なのであれば、従来のご自分のチェックに上記を加える事で、より「成功」に近付けると思います。

また、これと合わせて「当たり前の事」(面積計算も含む)が出来ているか? 見積もりの「値段」以外の部分を真剣に確認している時の担当者の反応はどうか? 疑問点を指摘した時の対応は良いか? などを観察してみて、ご自分の中で「アレッ?」と思った部分が無いかチェックする事をオススメします。
ご自分の「アレッ?」という直感は意外と信用に値するものです。

私は、これらのチェックを通過した見積もりだけで「値段の比較」を行なう様にしています。
値段を比較する際は、もちろん塗料のグレードは同等のもので行ないます。
チェックで外れた業者の提示価格が安い場合もあるのですが、その数字の根拠も「信頼出来ない」ので一切参考にはしません。
(ちなみに上記の「信頼出来ない業者」の提示金額は、他社より高かったです。)

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